10月になり再び下落

―背景に世界経済同時不況―

 鉄スクラップ価格は9月第2週の38,500円/tを底に反転し、9月第5週では44,900円/tまで戻したが、10月に入り再び下落を開始、10月第3週(10/20)では18,100円/tと2万円台を切り、なお下押し傾向にある。10月の下降局面は想定外の動きだった。
 鉄スクラップ価格は、数回のトピックスで述べてきているように、①製鋼原料化 ②グローバル化の証として価格乱高下が起きてきたが、ここにきて世界経済全体の影響も受けるようになってきたと推察する。 昨年末から現時点までの動きを3つに分けると、a、bは鉄源需給(=鉄鋼需給)による変動を主としたが、10月以降のcは、世界経済の影響が加わっていると見る。

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 cの状況についてもう少し詳しくみると、震源はサブプライムローン証券化の焦げ付きにより、米国第4位のリーマンプラザースが9/15、64兆円の負債を抱え倒産したことがあげられる。64兆円は日本の国家予算の80%を占める巨大額であり、金融不安⇒株価暴落⇒公的資金介入⇒株価取り戻し⇒先行き不安⇒実体経済悪化⇒再び株価低下を経緯し、世界全体にひろがって世界同時不況を引き起こしている。日本は90年代にバブル崩壊を経験したが、今それが世界全体で起きつつある。
 政府は10月の月例報告で、景気判断を下方に修正した。6年続いた輸出主導の景気はついに終焉を迎えるに至っている。
 大手電炉メーカーT社は10/20製品価格を平均3割下方修正すると発表した。今まで好調に鉄鋼生産を牽引してきた高炉メーカーも、輸出不振を理由に11月より減産を開始すると明らかにしている。
 韓国ではウオン安のため内外需ともに低迷し、電炉メーカーは輸入LCが開けず、このため日本からスクラップ輸入が出来ないでいる。10/9関東鉄源協会が行った11契約入札は、開設以来初の不成立に終わった。
 日本の鉄スクラップ主要輸出先である韓国の荷止めにより、行き先を国内鉄鋼業に求めるも、国内鉄鋼メーカーも減産開始。行き場を失い需給の緩みが解決されない状態が続いている。

 今後の見通し

 鉄鋼需給のみならず経済要因が加わっていることから、事態の長期化は免れそうにない。震源地米国の大統領が決まり、方針が軌道にのるまで本格回復は望めないのではないか。一方、下押しのボーダラインはギロ材の加工コストにあると見る。これを切れば鉄スクラップは逆有償となってしまう。それはリサイクル体系の崩壊につながることになる。何としても逆有償化は避けねばならない。

2008.10.26
株式会社鉄リサイクリング・リサーチ
代表取締役 林 誠一