注目される「雑品」輸出の動向

―鉄スクラップ価格高額化の影響・その1―

 「雑品」とは、モーター、配電盤、湯沸かし器、コンプレッサー、家電類、OA機器など主として銅がついた未解体の使用済み鉄鋼製品である。従来は国内の鉄スクラップ事業所でガス溶断、ギロチン、シュレッダーなどの加工処理を行い、選別された鉄は製鋼メーカーに、非鉄は非鉄精錬に引き取られていた。
 しかし、中国の銅需要急増により、加工処理を行わずに未解体のまま輸出されるケースが2003年ごろより顕著となり、独自の流通を形成するようになった。
 輸出通関は鉄スクラップの品名コードで扱われ、07年では鉄スクラップ輸出量645万tのうち30%弱を占めると推定される。

①価格推移

 鉄スクラップ価格と銅付鉄スクラップ価格は、08年初約20,000円/tの値差があったが、その後鉄スクラップ価格が上伸して差が縮まるとともに、7月には鉄スクラップ価格が上回った状態が1ヶ月続いた。その後高くなりすぎた鉄スクラップ価格は調整局面となり、8月下旬になってやっと元の価格差に戻ろうとしている。このような差異の乱高下は双方のマーケットの違い(中国における銅価格は、日本の鉄スクラップ価格ほど過激に変動していなかったなど)によるものと考える。

②価格差変遷の影響

 しかし、7月に鉄スクラップ価格が上回ったことにより、回収・集荷段階では次のようなことが起きている。

・鉄スクラップ事業者;銅付き鉄スクラップ(雑品)の魅力が失われ、配電盤などの非鉄を分けやすいものは、ギロチンやシュレッダー加工に取り込む事業所がでてきた。
・回収専門業者;鉄スクラップ事業者分が減少した分を、家電類、OA機器で穴埋めする動きが起きた。これらは中国にとって輸入規制品対象物もある。バッテリーを内臓する品目も多く、その結果、火災事故多発を誘発している。

③問題点

・「雑品」の内容低下につながっており、日中間の信頼性を喪失する問題につながりかねない。
・独自の通関コードがないため、輸出通関は鉄スクラップの品名コードで行われている。このため、加工処理した鉄スクラップと区別がつかず、正確な需給把握を歪にしている。
・品位の低下は現地解体時、環境汚染問題が懸念されるとともに、輸送途上の火災事故を誘発している。

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④提言と展望

・「雑品」輸出について;経済合理性のみに委ねることなく、日中間の貿易問題として、行政の関与が必要である。
・価格高騰について;08年1-4月の年換算は211万tとなり、07年の182万tをさらに超える勢いだが、その後の鉄スクラップ価格乱高下により、輸出量に変化が現れる可能性が大きい。

2008.8.27
株式会社鉄リサイクリング・リサーチ 代表取締役 林 誠一